「自分の経験やスキルを商品にしたいけれど、何から考えればよいかわからない」
「講座やコンサルティングを作ったものの、本当にニーズがあるのか不安」
「サービス内容や価格を、うまく説明できない」
こうした悩みを持つ個人事業主やコンサルタント、講師、コーチ、士業の方は少なくありません。
商品を作るとき、サービス名、面談回数、教材、価格といった「目に見える内容」から考えたくなります。しかし、最初に決めるべきなのは、誰のどのような課題を解決し、どのような変化を届けるのかということです。
さらに、その商品が事業全体の中でどのような役割を担うのかも欠かせません。新規顧客との接点を作る入口商品なのか、根本的な課題を解決する主力商品なのかによって、内容や価格、販売方法は変わります。
この記事では、商品設計の基本と、顧客に選ばれる商品を作る8つのプロセスを解説します。
商品設計とは?サービスを「選べる形」にすること
商品設計とは、顧客に提供する価値を定め、その価値を実現するために、対象者、課題、成果、提供プロセス、方法、期間、価格、販売方法までを一貫して組み立てることです。
商品設計では、主に次の項目を決めます。
- 誰に提供するのか
- どのような課題を解決するのか
- どのような変化を届けるのか
- なぜ自分が提供するのか
- どのような順番で支援するのか
- どのような方法、期間、体制で提供するのか
- どこまでを商品に含めるのか
- いくらで、どのように販売するのか
- 提供後にどう改善するのか
これらが曖昧なままでは、提供者自身も商品を説明しにくく、顧客も「自分に必要な商品なのか」を判断できません。
サービスは、マーケティング支援、ホームページ制作、経営相談など、顧客に対して行う支援の種類です。一方、商品は、そのサービスについて対象者、課題、期間、内容、価格、得られる変化を一定の形にまとめたものです。
たとえば「マーケティング支援」だけでは、何をしてもらえるのかがわかりません。「紹介営業に依存している中小企業に対して、6か月で見込み顧客獲得から営業までの仕組みを整える伴走支援」とすると、対象者、課題、期間、目指す状態が伝わります。
オーダーメイド型の仕事でも商品設計は必要です。すべてを固定するのではなく、共通する基本プロセス、提供範囲、価格の考え方を決めておくことで、提案と提供の品質を安定させられます。
商品設計でよくある3つの間違い
1.自分ができることから考える
経験や専門性がある人ほど、「何を教えられるか」「何を提供できるか」から商品を考えます。しかし、できることを並べるだけでは、顧客にとってなぜ必要なのかが伝わりません。
商品は、自分のスキル単体ではなく、「顧客が抱える課題」と「自分の強み」が交わる場所から考えます。
2.提供内容から作り始める
「月2回の面談」「動画教材付き」「チャット相談付き」は、商品の提供手段です。顧客の課題と目指す状態が決まっていなければ、面談が何回必要なのか、動画が必要なのかも判断できません。
先に「誰を、どこからどこまで連れていくのか」を決め、その変化に必要な手段だけを選びます。
3.最初から完成品を作ろうとする
商品名、ロゴ、LP、動画教材、自動化の仕組みまで作り込んでから販売すると、顧客ニーズとのずれを修正しにくくなります。
最初は既存顧客や少人数へ提供できる最小限の形で販売し、反応や成果を確認しながら改善するほうが、精度の高い商品になります。
商品設計のプロセス|8つのステップ
ステップ1.商品を作る目的と事業での役割を決める
最初に確認したいのは、「なぜ今、この商品を作るのか」です。
商品を作る目的には、
新規顧客との接点を作る、
単発案件から継続契約へ移行する、
低単価の作業請負から抜け出す、
個別対応で蓄積したノウハウを講座化する、
法人向け商品を作る、
自分一人に依存しない体制を作る、
といったものがあります。
入口商品と主力商品では、設計が異なります。入口商品は短期間で課題を整理し、次の支援が必要か判断できる形が適しています。主力商品は、一定期間をかけて根本課題の解決まで支援する設計が必要です。
この段階で、商品の目的、事業全体での役割、目標売上と販売数、提供できる時間や体制、既存商品との関係を整理します。
ステップ2.対象となる顧客を明確にする
「女性起業家」「中小企業」「売上を上げたい人」といった属性だけでは、商品設計に必要な情報が足りません。同じ属性でも、現在の状況によって必要な商品は変わります。
たとえば個人事業主でも、独立直後で商品がない人、単発案件はあるが売上が安定しない人、紹介では仕事が来るが発信から相談につながらない人では、抱える課題が異なります。
顧客について、現在の状況、困っていること、これまで試したこと、自力で解決できない理由、問題解決の緊急度、購入を決める人を整理します。
法人向け商品では、利用者と決裁者を分けて考えます。管理職研修なら、受講者が得たい変化と、経営者や人事が期待する組織上の成果の両方が必要です。
ステップ3.顧客が解決したい課題を特定する
顧客が口にしている悩みを、そのまま課題だと決めつけないことが大切です。表面的な悩みの奥には、別の原因があることがあります。
たとえば「SNS投稿が続かない」という悩みは、投稿ネタや時間の不足だけが原因とは限りません。本質的には、誰に何を伝えるかが決まっていない、商品と発信がつながっていない、相談までの導線がない可能性があります。
「ホームページから問い合わせが来ない」という悩みも、デザインやアクセス数だけの問題ではありません。強みが伝わらない、顧客が知りたい情報がない、狙う顧客が曖昧といった原因が考えられます。
課題を理解するには、既存顧客へのヒアリング、商談でよく聞かれる質問、過去案件や失注理由の振り返りが役立ちます。自分の想像だけで顧客像を作らず、実際の言葉から確認しましょう。
ステップ4.顧客に届ける変化を決める
商品によって、顧客がどこからどこへ変わるのかを明確にします。
Beforeでは、現在の状態や悩みに加え、その問題によって失っている時間、売上、機会、自信などを整理します。
Afterでは、「理想の状態になる」と曖昧に表現せず、何ができるようになるのか、何を判断できるようになるのか、仕事や生活がどう変わるのかまで具体化します。
商品設計支援なら、「商品が作れる」だけでなく、誰に何を届ける商品か説明できる、顧客の課題と提供価値が整理されている、提供範囲と価格の根拠を説明できる、実際に提案して反応をもとに改善できる、と設定します。
ただし、売上や集客数など、提供者だけではコントロールできない成果を過剰に約束しないことも重要です。
ステップ5.自分の強みを顧客価値へ変換する
顧客、課題、届ける変化が決まったら、自分がその変化にどう貢献できるのかを整理します。
過去の経験、専門知識、実績、得意な進め方、顧客から評価されてきたこと、他者とは異なる視点、複数の専門性の組み合わせ、顧客との関わり方、提供体制などを確認します。
大切なのは、強みを並べることではなく、顧客価値へ変換することです。
たとえば「話を聞くことが得意」なら、顧客自身も言葉にできていない問題を発見できる、複数の意見を整理して合意形成を進められる、本人が自分で意思決定できる状態を作れる、と表現します。
独自性は、誰もやっていない珍しい方法だけではありません。対象顧客、課題の捉え方、経験、進め方、関わり方、提供体制の組み合わせによって生まれます。
ステップ6.成果までの提供プロセスを設計する
顧客が現在地から目指す状態へ進むための道筋を作ります。
たとえば、現状を把握する、課題を整理する、優先順位を決める、方針を設計する、必要な施策を作る、実行する、結果を検証する、改善する、という流れです。
自分が教えたいことを順番に並べるのではなく、顧客が成果を出すために必要な順番で設計します。
各工程について、目的、顧客が行うこと、提供者が行うこと、完了の基準、必要な成果物、次へ進む条件を整理すると、プロセスが具体的になります。
また、どこでつまずきやすいか、個別のフィードバックが必要な工程はどこか、教材やテンプレートで仕組み化できる部分はどこかも考えます。
最終的には、顧客自身が判断し、継続できる状態を目指します。
ステップ7.提供方法・期間・価格・体制を決める
成果までのプロセスができたら、それをどのような形で届けるかを決めます。
提供方法には、個別セッション、グループ講座、動画教材、ワークショップ、添削、チャットサポート、制作代行、実行支援などがあります。
流行や売りやすさで選ぶのではなく、顧客が知識を得れば進めるのか、個別の判断が必要なのか、制作や実行まで支援すべきなのかによって選びます。期間も、売りやすい長さではなく、変化に必要な時間から考えます。
同時に、商品に含むことと含まないこと、対応回数、修正回数、顧客側に必要な作業、追加料金が発生する条件を明確にします。提供範囲が曖昧だと仕事が膨らみ、利益と余力が失われます。
価格は作業時間だけでなく、顧客が得る価値、課題の重要度、時間短縮や失敗回避の価値、人件費や外注費、継続的に提供できる利益を踏まえて決めます。
顧客の成果に別の専門性が必要なら、外部パートナーとの連携も商品設計の一部です。一人でできる範囲に商品を縮めず、必要な成果から最適な体制を考えます。
ステップ8.小さく販売して検証・改善する
基本設計ができたら、実際に販売します。商品は、販売前に完全に仕上げるものではありません。
最初は、有料モニター、既存顧客への提案、少人数限定のプログラム、一部工程だけの個別サービスなど、小さな形から始められます。
販売時には、説明が理解されたか、どこに魅力を感じたか、購入を迷った理由、想定した顧客が集まったかを確認します。提供後には、顧客がつまずいた工程、役立った支援、不要だった内容、不足したサポート、得られた変化、提供者側に利益と余力が残ったかを振り返ります。
反応が悪いからといって、すぐに価格を下げる必要はありません。対象顧客、課題の重要性、価値の伝わり方、提供内容、販売場所や方法のどこに原因があるかを切り分けます。
商品設計は一度で完成するものではなく、販売と提供を通じて顧客理解を深めながら更新していくものです。
商品設計で決めるべき7つの項目
ここまでの内容は、次の7項目に整理できます。
1.顧客:誰のための商品か
2.課題:何を解決するのか
3.価値:どのような変化を届けるのか
4.独自性:なぜ自分が提供するのか
5.プロセス:どのような順番で成果へ導くのか
6.提供条件:方法、期間、範囲、体制をどうするか
7.価格・販売:いくらで、どのように届けるか
商品名やキャッチコピーは、これらを整理したあとに考えます。中身が明確であれば、商品名や紹介文にも一貫性が生まれます。
商品設計の具体例
Webデザイナーの場合、設計前の説明は「ホームページを作ります」です。これだけでは、対象者や解決する問題、他社との違いがわかりません。
設計後は、「紹介中心で新規顧客を獲得している中小企業に対して、強みの整理、情報設計、原稿構成、デザイン、問い合わせ導線までを一貫して支援する、問い合わせ獲得型ホームページ制作」と表現できます。
単に制作物を納品するのではなく、問い合わせにつながるまでの課題解決として商品を捉えています。
商品設計を確認するチェックリスト
- 商品を作る目的と、事業での役割が明確
- 誰のための商品か具体的に説明できる
- 顧客の表面的な悩みと本質的な課題を分けている
- 顧客のBeforeとAfterを説明できる
- 自分の強みを顧客価値へ変換できている
- 成果までのプロセスがある
- 顧客と提供者の役割が明確
- 提供範囲と対象外が決まっている
- 期間、回数、価格に根拠がある
- 提供者に利益と余力が残る
- 小さく販売して改善している
答えが曖昧な項目が、次に見直すべき場所です。
商品設計に関するよくある質問
商品設計は何から始めればよいですか?
最初に、商品内容ではなく「誰の、どのような問題を解決するのか」を整理します。同時に、その商品を作る目的と、事業全体で担う役割も確認しましょう。
商品名はいつ決めればよいですか?
顧客、課題、提供価値、独自性、プロセスが整理されたあとがおすすめです。先に名前を決めると、その言葉に合わせて内容を無理に作ることがあります。
価格はどの段階で決めますか?
顧客に提供する価値、成果までのプロセス、提供期間、方法、範囲、体制が決まったあとに検討します。価格に合わせて特典を足すのではなく、必要な支援を設計した結果として価格を決めます。
商品は完成してから販売すべきですか?
基本設計は必要ですが、教材や仕組みをすべて完成させる必要はありません。少人数や既存顧客に有料で提供し、反応やつまずきを確認しながら改善します。
オーダーメイドの商品でも設計は必要ですか?
必要です。共通する基本プロセス、対応範囲、価格の考え方、提案の基準を持つことで、毎回ゼロから考える負担を減らし、品質を安定させられます。
まとめ|商品設計は、売りたいものを作ることではない
商品設計とは、自分が提供したい内容を並べることではありません。顧客が抱える問題を理解し、届ける変化を決め、その実現に必要なプロセス、提供方法、期間、価格、体制を組み立てることです。
さらに、事業全体での商品の役割まで考えることで、単発の商品ではなく、継続的な事業につながります。
顧客に選ばれること。
実際に成果を届けられること。
提供者も無理なく続けられること。
この3つを両立させることが、商品設計の目的です。
自分の経験や強みを、顧客に選ばれる商品に変えたい方へ
風ひらくでは、強みの言語化、顧客設定、商品コンセプト、提供プロセス、価格、販売導線まで、部分的な施策ではなく、事業全体を見ながら商品設計を支援しています。
誰かの正解を当てはめるのではなく、その人の経験や資質、顧客、事業の状況に合った形を一緒に考えることが、私たちの支援の特徴です。
自分の経験や専門性を、顧客にとって価値のある商品へ組み替えたい方は、まずはお試しコンサルをご利用ください。
この記事の著者

青野まさみ
株式会社風ひらく 代表取締役
マーケティングプランナー/ブランディングプロデューサー
サイバーエージェント、博報堂グループでマーケティング・ブランド戦略を経験後、スタートアップ企業の立ち上げに参画。
2019年に独立し、現在は「株式会社風ひらく」代表として、企業・個人あわせて年間200件以上のマーケティング・ブランド支援を行う。


