マーケティングを広告代理店や制作会社に任せているものの、社内にノウハウが残っていない。担当者を置いたものの、何を任せればよいかわからず、結局は外部会社からの提案を待っている。外注費を減らしたい一方で、すべてを社員だけで行うのは現実的ではない。
このような悩みから、マーケティングの内製化を検討する中小企業は少なくありません。
ただし、マーケティング内製化とは、広告運用や記事制作などの作業をすべて社内に移すことではありません。
マーケティング内製化とは、顧客理解、戦略、判断基準、データを社内に蓄積し、自社で方針を決め、改善を続けられる体制をつくることです。
専門性の高い制作や実務は、必要に応じて外部へ任せても構いません。大切なのは、自社が主体となって「誰に、何を、どのように届けるか」を考え、成果を判断できる状態をつくることです。
この記事では、中小企業がマーケティングを内製化するメリットと課題、社内に残す業務と外部へ任せる業務の分け方、具体的な進め方を7つのステップで解説します。
マーケティング内製化とは
マーケティング業務を自社で企画・実行・改善すること
マーケティング内製化とは、これまで外部へ委託していたマーケティング業務の一部または全部を、自社の方針と体制のもとで企画・実行・改善できるようにすることです。
マーケティングに含まれる業務は幅広く、たとえば次のようなものがあります。
- 市場や顧客の分析
- ターゲットと提供価値の設計
- マーケティング戦略の策定
- Webサイトの企画・運用
- SEOや記事コンテンツの制作
- 広告運用
- SNS運用
- 展示会やセミナーの企画
- メールマーケティング
- ホワイトペーパーの制作
- MA・CRMの運用
- KPIの管理
- 営業部門との連携
これらをすべて一人の担当者が行う必要はありません。むしろ、業務を分解し、社内で判断する部分、社内で実行する部分、外部と共同で進める部分を分けることが重要です。
インハウスマーケティングとの違い
「マーケティング内製化」と「インハウスマーケティング」は、実務上ほぼ同じ意味で使われます。どちらも、外部会社へ全面的に委託するのではなく、自社の中にマーケティング機能を持つ考え方です。
ただし、ここでいうマーケティング機能とは、社員が広告画面を操作できる、記事を書ける、SNSを更新できるといった作業能力だけではありません。
自社の事業目標から逆算し、ターゲットを決め、施策の優先順位を判断し、数字を見ながら改善する。この一連の意思決定ができることが、内製化の本質です。
内製化のゴールは「外注ゼロ」ではない
マーケティング内製化という言葉から、「外注をやめること」「すべて社員ができるようになること」を想像する方もいます。しかし、外注費をゼロにすること自体をゴールにすると、必要な専門性まで社内で抱え込み、担当者が疲弊しやすくなります。
内製化で目指したいのは、次のような状態です。
- 自社で施策の優先順位を決められる
- 外部パートナーへ適切な依頼や指示ができる
- 施策の成果を自社で判断できる
- 担当者が変わっても運用が止まらない
- 顧客情報や成功・失敗の知見が社内に残る
つまり、外部を使わないことではなく、外部を主体的に使えることが内製化のゴールです。
マーケティング内製化が必要とされる4つの背景
1.外部に任せても、社内にノウハウが残らない
代理店や制作会社から毎月レポートが届いていても、社内では「なぜこの施策を行っているのか」「何を基準に続ける、やめるを判断するのか」を説明できないことがあります。
外部会社との契約が終わった途端、広告もコンテンツも止まり、過去のデータをどう見ればよいかもわからない。これでは、費用をかけて施策を行っても、会社の資産として知見が蓄積されません。
マーケティングを継続的な経営機能にするには、成果物だけでなく、判断の根拠や運用方法まで社内に残す必要があります。
2.顧客や市場の変化へ素早く対応する必要がある
顧客の反応を最も早く把握するのは、営業担当者やカスタマーサポート、店舗や現場で働く社員です。
ところが、顧客の声を持つ社内と、施策を実行する外部会社が分断されていると、情報共有に時間がかかります。外部会社へ説明し、企画を待ち、社内で承認している間に、顧客ニーズや競合の動きが変わることもあります。
社内にマーケティングの責任者や判断機能があれば、現場の情報を素早く施策へ反映できます。
3.広告や紹介だけに依存した集客から抜け出したい
紹介営業だけで安定していた企業でも、取引先の減少や世代交代によって紹介数が落ちることがあります。広告だけに依存していれば、広告費の高騰や媒体の仕様変更によって、突然採算が合わなくなる可能性があります。
新規顧客獲得を安定させるには、Webサイト、検索、セミナー、メール、既存顧客との関係など、複数の接点を組み合わせることが必要です。
その設計を外部会社ごとに分断せず、自社で全体を把握するためにも、マーケティング機能の内製化が求められます。
4.マーケティングと営業をつなぐ必要がある
BtoB企業では、マーケティング施策だけで契約が完結することは多くありません。資料ダウンロードや問い合わせの後に、営業がフォローし、商談を重ねて受注へ進みます。
そのため、次のような分断があると、マーケティング施策の成果が見えなくなります。
- 獲得したリードが営業へ共有されない
- 共有してもフォローされない
- 商談化したかどうかがマーケティング側へ戻らない
- 受注理由や失注理由が次の企画へ反映されない
マーケティング内製化は、担当者が施策を実行できるようにするだけではありません。マーケティングと営業の情報を社内で循環させる仕組みをつくることでもあります。
マーケティングを内製化する5つのメリット
1.社内にノウハウと判断基準が蓄積される
内製化が進むと、施策の実施結果だけでなく、「どの顧客が反応したか」「どの訴求が商談につながったか」「何が失注の原因だったか」が社内に残ります。
この知見は、次の広告や記事だけでなく、商品開発、営業資料、採用、経営判断にも活用できます。マーケティング活動を行うほど、自社の顧客理解が深まる状態をつくれることが大きなメリットです。
2.意思決定と改善のスピードが上がる
外部会社からの報告を待たなければ数字がわからない状態では、改善が遅れます。社内でKPIを確認し、判断できるようになると、小さな変化に気づき、すぐに対応できます。
たとえば、問い合わせ数は増えているのに商談化率が下がっている場合、集客数をさらに増やすのではなく、ターゲットや問い合わせ後の対応を見直す必要があります。
数字を社内でつなげて見られることで、打ち手の精度もスピードも上がります。
3.自社や顧客への理解を施策に反映できる
自社の商品を長く扱っている社員や、顧客と接している営業担当者は、外部の制作者が短期間では把握できない知識を持っています。
顧客がどのような言葉を使うのか、どのような不安を持つのか、最終的に何が決め手になるのか。その情報を記事、営業資料、セミナー、Webサイトへ反映できれば、表面的ではない、自社らしいマーケティングになります。
4.マーケティングと営業が連携しやすくなる
マーケティング担当者が社内にいると、営業会議や顧客情報へアクセスしやすくなります。営業から商談の反応を聞き、次のコンテンツや施策へ反映することも可能です。
逆に、マーケティング側が「どのような顧客が反応しているか」を営業へ共有すれば、優先的にフォローすべき見込み顧客も判断しやすくなります。
5.外部パートナーを適切に活用できる
社内に判断基準がない状態では、外部会社の提案が良いか悪いかを評価できず、「プロに任せているから」と丸投げしがちです。
内製化が進めば、次のことを明確にできます。
- 何を外部へ依頼するのか
- どの課題を解決したいのか
- 何を成果指標とするのか
- どこまでを外部に任せるのか
- 何を社内へ引き継いでもらうのか
外注を減らすだけでなく、外注の質を上げられることも内製化のメリットです。
マーケティング内製化の5つのデメリット・課題
1.マーケティング人材の採用や育成に時間がかかる
マーケティングは、戦略、リサーチ、コンテンツ、広告、データ分析、プロジェクト管理など、幅広い能力が必要です。これらを一人ですべて習得するのは現実的ではありません。
経験者を採用しようとしても、自社に合う人材を見極めるのは簡単ではなく、採用後に事業や業界を理解してもらう時間も必要です。
2.既存業務との兼務で担当者が疲弊する
中小企業では、営業、広報、総務などの社員がマーケティングを兼務するケースが多くあります。
しかし、既存業務を減らさずに「SNSも更新して」「記事も書いて」「展示会も企画して」と仕事を追加すると、緊急度の高い日常業務が優先され、マーケティングは後回しになります。
内製化には、役割を与えるだけでなく、時間と優先順位を確保することが必要です。
3.社内だけでは視点や専門性が偏る
自社の商品や業界を深く知っていることは強みですが、同時に、自社の常識から抜け出しにくいという弱点にもなります。
顧客にとってはわかりにくい専門用語を当然のように使ったり、競合との違いが曖昧なまま「品質が高い」と表現したりすることがあります。
外部の視点を完全に排除するのではなく、客観的なリサーチや専門知識を取り入れることが重要です。
4.担当者個人に属人化する可能性がある
一人の担当者がWebサイト、広告アカウント、顧客データ、制作会社との連絡をすべて管理している場合、その人が異動・退職すると運用が止まります。
内製化とは、特定の社員に仕事を集中させることではありません。手順、判断基準、データの保存場所、外部パートナーとの契約内容などを、組織として共有できる状態にする必要があります。
5.内製化そのものが目的になりやすい
「記事を月4本公開した」「SNSを毎日更新した」「メルマガを毎週配信した」といった活動量だけを目標にすると、売上とのつながりが見えなくなります。
本来確認すべきなのは、誰に届いたのか、問い合わせや商談につながったのか、受注した顧客はどの施策を見ていたのかという成果です。
内製化は作業を増やすためではなく、事業成果につながる改善を自社で続けるために行います。
マーケティングはどこまで内製化すべきか
マーケティング業務を「内製するか、外注するか」の二択で考えると、無理が生じます。実際には、社内に残す業務、外部へ任せる業務、共同で進める業務に分けるのが現実的です。
社内に残すべき業務
| 業務 | 社内に残す理由 |
| 事業目標・売上目標 | 予算や人員配分を含む経営判断に関わるため |
| 顧客理解 | 営業や現場に一次情報が蓄積されているため |
| ターゲットと提供価値 | 商品・事業の根幹となるため |
| 施策の優先順位 | 限られた予算と人員をどこへ配分するか決めるため |
| KPIの確認 | 成果の判断を外部任せにしないため |
| 営業との連携 | 商談・受注・失注情報を施策へ戻すため |
| ブランドやメッセージ | 自社の価値観と約束を表すため |
外部に任せやすい業務
- Webサイトのデザインや開発
- 広告運用の専門実務
- SEOの技術調査
- 記事やホワイトペーパーの制作
- 写真・動画の撮影や編集
- MA・CRMの初期設定
- データ分析基盤の構築
- 大規模な市場調査
- 一時的に必要となる専門業務
ただし、外部へ任せる場合も、目的、ターゲット、成果指標、社内への引き継ぎ方法は自社で決める必要があります。
社内と外部が共同で行いたい業務
- マーケティング戦略の設計
- 顧客・競合リサーチ
- コンテンツ企画
- 営業プロセスの設計
- KPI設計
- 月次レビュー
- 改善施策の立案
戦略やKPIを外部だけで決めると、社内で腹落ちせず、運用が続かないことがあります。一方、社内だけで考えると、過去のやり方に引っ張られる可能性があります。
自社に残すべきなのは、すべての作業ではなく、顧客を理解し、方針を決め、成果を判断する力です。
マーケティング内製化が向いている企業・急がない方がよい企業
内製化が向いている企業
- 経営者がマーケティングの重要性を理解している
- 中長期的に新規顧客獲得の仕組みをつくりたい
- 社内に営業・顧客情報が蓄積されている
- 担当者が一定の時間を確保できる
- 外部パートナーと協力しながら進められる
- 数字を見て改善する文化をつくりたい
内製化を急がない方がよい企業
- 短期間で売上をつくる緊急対応が必要である
- 担当者を置く余裕がまったくない
- 経営者や事業責任者が関与する意思がない
- 戦略やターゲットがまだ決まっていない
- 内製化を単なる外注費削減と考えている
- 担当者へすべてを丸投げしようとしている
緊急で成果が必要な場合は、まず外部の専門家へ実行を任せながら、同時に社内担当者が学び、段階的に引き継ぐ方が現実的です。
マーケティング内製化の進め方7ステップ
ステップ1.内製化の目的を決める
最初に、「なぜマーケティングを内製化するのか」を明確にします。
- 社内にノウハウを残したい
- 営業担当者の新規開拓だけに頼る状態を変えたい
- 代理店に依存せず施策を判断したい
- マーケティングと営業を連携させたい
- 新規事業の顧客獲得体制をつくりたい
「外注費を減らしたい」という目的だけでは、安い作業を社員へ移す話になりがちです。内製化によって、事業の何を変えたいのかまで言葉にしましょう。
ステップ2.現在のマーケティング活動を棚卸しする
現在行っている施策と体制を一覧にします
- どのような施策を行っているか
- 誰が担当しているか
- どの外注先へ何を依頼しているか
- 年間・月間の予算はいくらか
- どのような成果が出ているか
- どのツールを使っているか
- どこにデータが保存されているか
- 営業とどのように情報共有しているか
施策の一覧だけでなく、認知、興味、問い合わせ、商談、受注という顧客の流れのどこを担っているかも可視化します。
たとえば、SEO記事は増えているのに問い合わせ後のフォローが決まっていなければ、コンテンツを増やす前に営業連携を整える必要があります。
ステップ3.内製化する業務と外注する業務を分ける
棚卸しした業務を、次の4つに分けます。
- 社内で判断する業務
- 社内で実行する業務
- 社内と外部が共同で行う業務
- 外部へ任せる業務
すべてを内製化しようとせず、自社の強み、担当者の能力、頻度、専門性、採算を見ながら判断します。
頻繁に改善する必要があり、顧客理解と密接に関わる業務は社内へ残しやすい一方、専門性が高く、常時発生しない業務は外部へ任せやすいでしょう。
ステップ4.責任者と役割分担を決める
最低限、次の役割を明確にします。
- 経営責任者:事業目標、予算、優先順位を決める
- マーケティング責任者:全体計画と施策の判断を担う
- 実務担当者:日々の進行やデータ管理を行う
- 営業側の担当者:商談・顧客情報を共有する
- 外部パートナー:専門的な支援や制作を行う
よくある失敗は、「Webが得意そうだから」という理由だけで若手社員を担当者にし、経営者も営業も関与しないことです。
マーケティング担当者一人にすべてを背負わせず、誰が判断し、誰が協力するのかを決めましょう。
ステップ5.目標とKPIを設定する
マーケティングの目標は、SNSの投稿数や記事本数だけではありません。最終的な事業目標から逆算して設定します。
確認する指標の例は次の通りです。
- 問い合わせ数
- 資料ダウンロード数
- 見込み顧客数
- 商談数
- 商談化率
- 受注率
- 顧客単価
- チャネル別の商談・受注数
重要なのは、マーケティング部門だけの数字で終わらせず、商談や受注までつなげて見ることです。
ステップ6.小さな施策から実行し、業務を型化する
最初から広告、SEO、SNS、展示会、メールをすべて始める必要はありません。現在ある顧客情報や資産を活用し、成果が見えやすい施策から始めます。
- 既存顧客や過去リードへのメール
- 導入事例の制作
- 小規模なセミナーの開催
- Webサイトの問い合わせ導線の改善
- 問い合わせ後の営業フォローの見直し
実行しながら、手順、判断基準、テンプレート、スケジュール、担当者、確認方法を記録します。
内製化では、担当者が一度できることより、別の人でも再現できる形にすることが重要です。
ステップ7.定例会で数字を確認し、改善を続ける
月に一度など定期的に、経営、マーケティング、営業の関係者が数字を確認します。
- 何を実施したか
- どの数字が変化したか
- 商談や受注につながったか
- 営業現場でどのような反応があったか
- 次に何を続けるか
- 何をやめるか
- 何を外部へ依頼するか
施策を増やす会議ではなく、事実を見て優先順位を決める会議にします。
マーケティング内製化は、担当者が一人で作業できる状態ではなく、組織として改善サイクルを回せる状態になって初めて定着します。
マーケティング内製化でよくある6つの失敗
1.いきなりすべてを内製化しようとする
広告、SEO、SNS、Web制作、データ分析では、それぞれ必要な専門性が異なります。これらを一度に社内へ移すと、担当者は学習と実務に追われ、どの施策も中途半端になりがちです。
まずは判断機能と顧客情報の管理から社内へ残し、実務は段階的に移しましょう。
2.担当者を一人置くだけで終わる
担当者に権限、予算、目標、協力者がなければ、マーケティングは進みません。営業へ顧客情報を求めても協力されず、経営者へ判断を求めても返事が遅ければ、担当者の努力だけでは解決できません。
マーケティング内製化は、人の配置ではなく、組織の役割設計です。
3.ツール導入から始める
MAやCRM、アクセス解析ツールを導入すれば、マーケティングが高度化するわけではありません。
誰を管理するのか、どのタイミングで何を送るのか、誰がフォローするのか、どの数字を確認するのかが決まっていなければ、ツールは使われなくなります。
先に業務プロセスを決め、その運用に必要なツールを選びましょう。
4.経営者がマーケティングに関与しない
ターゲット、予算、商品、営業との役割分担は、担当者だけでは決められません。マーケティングを「担当部署の仕事」と捉え、経営者が判断を避けると、施策は細かな発信作業へ偏ります。
特に内製化の立ち上げ期には、経営者や事業責任者が方向性を示し、部門間の調整を行う必要があります。
5.社内研修だけで終わる
社員がマーケティングの用語やフレームワークを学んでも、実際の顧客獲得体制ができるとは限りません。
自社の顧客データを整理し、実際の記事やセミナーを企画し、営業へリードを渡し、結果を振り返るところまで経験して初めて、知識が実務に変わります。
内製化支援を選ぶ際も、研修だけでなく、実行と改善まで伴走してもらえるかを確認しましょう。
6.外部パートナーから知見を引き継がない
外部会社からWebサイトや記事が納品されても、次の内容が社内に残らなければ内製化は進みません。
- なぜこの設計にしたのか
- どの顧客を想定しているのか
- 今後どのように運用するのか
- どの数字を確認するのか
- どのタイミングで改善するのか
成果物と一緒に、判断基準、マニュアル、テンプレート、データの管理方法を引き継いでもらうことが大切です。
中小企業に適した「ハイブリッド型マーケティング体制」
マーケティング専門人材を複数名採用するのが難しい中小企業では、経営者、社内担当者、外部専門家の3者で進めるハイブリッド型が現実的です。
経営者・事業責任者の役割
- 事業目標を示す
- 施策の優先順位を決める
- 予算と人員を配分する
- 部門をまたぐ意思決定を行う
社内マーケティング担当者の役割
- 顧客情報を収集する
- 施策の進行を管理する
- 営業や現場と連携する
- 数字を確認する
- 社内の関係者を調整する
外部マーケティング責任者・専門家の役割
- 戦略やロードマップを設計する
- プロジェクトの進め方を整える
- 社内担当者を育成する
- 必要な専門実務を補う
- 社外の視点から評価する
- 改善案を提示する
外部専門家が社内担当者の代わりに作業を抱え続けるのではなく、社内に判断と運用の力を移していくことが重要です。
完全内製化か、全面外注かという二択ではなく、自社に必要な機能を社内と外部で組み合わせましょう。
マーケティング内製化の支援事例
マーケティング専任者ゼロから、売上を生み出す体制へ
風ひらくが支援した企業の中には、支援開始時点でマーケティング専任者がいなかった企業もあります。
支援前の状態
- マーケティング専任者がいない
- 施策が単発で、実施後の振り返りがない
- 外部パートナーへ依存している
- 社内にノウハウや判断基準が残らない
- 営業とマーケティングが連携していない
実施したこと
- 経営層・事業部へのヒアリング
- ブランドとポジショニングの整理
- マーケティング機能と役割分担の設計
- KPIとリードデータの可視化
- Webサイト、SEO、ホワイトペーパーの整備
- 月次定例による改善サイクルの構築
支援後の変化
- マーケティング経由の新規売上を創出
- 営業とマーケティングが連携するチーム運用へ移行
- 経営会議でマーケティング指標を共有
- 社内で施策の優先順位を判断できる状態へ変化
この事例で行ったのは、記事制作やWebサイト改善だけではありません。誰が顧客情報を集め、誰が判断し、どの数字を見て改善するのかという、マーケティング機能そのものを社内につくる支援です。
マーケティング内製化に関するよくある質問
内製化にはマーケティング専任者が必要ですか?
専任者がいる方が進めやすいものの、最初から経験豊富なマーケターを採用する必要はありません。
自社の事業や顧客を理解し、社内調整ができる人を責任者に置き、戦略や専門知識は外部から補う方法があります。ただし、兼務の場合も一定の稼働時間と権限を確保することが必要です。
マーケティングをすべて内製化する必要がありますか?
必要ありません。
顧客理解、戦略、優先順位、KPIは社内に残し、デザイン、システム開発、広告運用などの専門実務は外部へ任せられます。
自社が判断主体であり続けられるのであれば、外部パートナーを活用していても内製化は成立します。
内製化にはどのくらいの期間がかかりますか?
現在の体制や対象業務によって異なりますが、短期間の研修だけで完成するものではありません。
目安としては、最初の3か月程度で現状整理、戦略、役割分担、KPIを整え、その後6か月から1年程度かけて施策の実行、改善、マニュアル化、引き継ぎを進めます。
最初から完成形を目指さず、一つの施策や部門から段階的に始める方が定着しやすいでしょう。
マーケティング担当者を採用するのと外部支援はどちらがよいですか?
採用だけで課題が解決するとは限りません。
戦略、担当範囲、KPI、営業との連携が決まっていない状態で人を採用すると、新しい担当者も何をすべきかわからず、SNS更新や制作会社との連絡だけを任されることがあります。
先に必要なマーケティング機能と役割を設計し、そのうえで採用すべき人材と、外部から補う専門性を分けることが重要です。
マーケティング内製化支援では何をしてもらえますか?
支援会社によって異なりますが、主に次のような内容があります。
- 現状分析
- マーケティング戦略とロードマップの策定
- 社内外の役割分担
- KPI設計
- 定例会の運営
- 施策の企画・実行支援
- マニュアルやテンプレートの作成
- 社員の育成
- 外部専門家の選定と管理
支援先を選ぶ際は、一般的な研修だけで終わらず、自社の実際の施策を動かし、社内で運用できるところまで支援してもらえるかを確認しましょう。
まとめ|マーケティング内製化とは、社内だけで頑張ることではない
マーケティング内製化とは、業務をすべて社内へ移すことではありません。
- 顧客理解、戦略、判断基準、データを社内に残す
- 制作や専門実務では外部パートナーを活用する
- 担当者一人ではなく、経営・営業・マーケティングをつなぐ
- いきなりすべてを移さず、小さな施策から始める
- 手順と判断基準を残し、属人化を防ぐ
- 数字を確認し、組織として改善を続ける
マーケティングの内製化は、外部の力を借りず、社員だけで頑張ることではありません。自社で顧客を理解し、進む方向を決め、成果を判断できる力を持つことです。
社内の知識と外部の専門性を適切に組み合わせることで、人材やリソースが限られる中小企業でも、マーケティングの仕組みを社内に残せます。
自社に合ったマーケティング内製化の進め方を相談しませんか
「何を社内に残し、どこを外部に任せるべきかわからない」
「担当者はいるが、成果につながる体制になっていない」
「代理店や制作会社に依存せず、自社で判断できる状態をつくりたい」
株式会社風ひらくでは、中小企業のマーケティング戦略、役割分担、KPI、営業との連携状況を整理し、自社に合ったマーケティング体制の構築をご支援しています。
すべてを社内へ抱え込むのではなく、社内に残す機能と外部を活用する領域を分けながら、施策の実行と担当者育成を同時に進めます。
この記事の著者

青野まさみ
株式会社風ひらく 代表取締役
マーケティングプランナー/ブランディングプロデューサー
サイバーエージェント、博報堂グループでマーケティング・ブランド戦略を経験後、スタートアップ企業の立ち上げに参画。
2019年に独立し、現在は「株式会社風ひらく」代表として、企業・個人あわせて年間200件以上のマーケティング・ブランド支援を行う。


