「新規顧客を増やしたいが、なかなか商談につながらない」
「営業担当者に新規開拓を任せているものの、既存顧客対応で手いっぱいになっている」
「テレアポ、展示会、ホームページ、広告などを試しても、成果が安定しない」
このような悩みを抱えている中小企業は少なくありません。
新規開拓が進まないとき、営業担当者の行動量や提案力に原因があると考えがちです。
「もっと電話をかけてほしい」
「もっと訪問件数を増やしてほしい」
「もっと提案力を高めてほしい」
もちろん、営業活動の量や質は大切です。ただし、新規顧客獲得は営業担当者だけの仕事ではありません。
誰に届けるのか。
どんな課題を解決するのか。
なぜ自社が選ばれるのか。
どこで顧客と接点を持つのか。
問い合わせ後に、どう商談へつなげるのか。
新規開拓には、こうした一連の設計が必要です。
営業担当者の努力だけを求めても、顧客像が曖昧で、サービスの強みが伝わらず、相談につながる入口も整っていなければ、成果は安定しません。
新規開拓ができないとき、営業担当者の行動量や提案力だけを見直しても、根本的な解決にはつながりません。顧客理解、サービスの伝え方、問い合わせ導線、営業プロセスまでを一体で整える必要があります。
この記事では、新規開拓ができない会社に共通する7つの問題、簡易診断、改善の方向性を解説します。
新規開拓とは?
新しい顧客との接点をつくり、商談・受注につなげること
新規開拓というと、テレアポや飛び込み営業を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、本来の新規開拓とは、新しい顧客との接点をつくり、相談、商談、受注につなげる一連の活動です。
接点のつくり方は一つではありません。たとえば、次のような方法があります。
・既存顧客や取引先からの紹介
・ホームページからの問い合わせ
・SEO記事からの流入
・展示会やセミナーでの接点
・資料ダウンロード
・メルマガやニュースレター
・アライアンス先からの紹介
・業界団体や勉強会での出会い
・テレアポや訪問営業
どの方法が正しいということではありません。
大切なのは、自社の顧客やサービスに合った接点をつくり、相談や商談につながる流れを整えることです。
営業担当者だけに任せると、うまくいかない理由
営業担当者は、新規開拓の重要な役割を担います。しかし、営業担当者ができることには限界があります。
狙う顧客が曖昧なままでは、どこにアプローチすべきかわかりません。
自社の強みが言語化されていなければ、何をどう伝えればよいかわかりません。
ホームページや営業資料が整っていなければ、商談前に顧客の理解を深めることもできません。
問い合わせ後のフォロー方法が決まっていなければ、見込み顧客を育てることも難しくなります。
新規開拓は、営業担当者だけに任せるものではありません。経営、マーケティング、営業が連携し、顧客との接点づくりから商談化までを一体で整える必要があります。
新規開拓ができない会社に共通する7つの問題
1. 誰に売りたいのかが曖昧
新規開拓が進まない会社では、対象顧客が広すぎることがあります。
「どんな会社でも対応できます」
「業種を問わず支援できます」
「規模に関係なくご相談ください」
このような表現は、一見すると間口が広く見えます。
しかし、営業担当者にとっては、どこにアプローチすべきか判断しにくくなります。ホームページや営業資料も抽象的になり、顧客にとっても「自分たちに合う会社なのか」がわかりにくくなります。
まずは、次のような項目を整理しましょう。
・業種
・企業規模
・役職
・抱えている課題
・相談が発生しやすいタイミング
・すでに試していること
・どのような状態を目指しているのか
すべての顧客を断る必要はありません。ただし、営業やマーケティングで最初に狙う顧客像は、ある程度具体的にしたほうが伝わりやすくなります。
2. 顧客の課題を理解できていない
新規開拓がうまくいかないとき、自社サービスの説明から始めているケースも多くあります。
「当社ではこのようなサービスを提供しています」
「このような機能があります」
「他社にはない強みがあります」
もちろん、サービス説明は必要です。ただし、顧客が知りたいのは、サービスの内容だけではありません。
「自社の課題を理解してくれるのか」
「今の悩みを解決できるのか」
「相談することで、どのような状態に変わるのか」
ということです。
顧客が何に困っているのか。
どのタイミングで相談したくなるのか。
どんな言葉で悩みを表現しているのか。
これを整理できていないと、営業資料もホームページも、自社都合の言葉になってしまいます。既存顧客へのヒアリング、受注事例、失注事例の振り返りを通じて、顧客の課題を顧客の言葉で把握することが大切です。
3. 「なぜ自社が選ばれるのか」を言語化できていない
新規開拓では、競合との違いが伝わることも重要です。ただし、差別化というと、珍しい機能や特別な実績を探そうとしがちです。実際には、顧客が選んでいる理由は、もっと具体的な部分にあることもあります。
「相談したときに、課題を整理してくれる」
「専門的な内容をわかりやすく説明してくれる」
「戦略だけでなく、実行まで伴走してくれる」
「現場の状況に合わせて進めてくれる」
「レスポンスが早く、安心して任せられる」
こうした理由も、立派な強みです。長年紹介で受注してきた会社ほど、自社が選ばれる理由を言葉にしていないことがあります。
顧客が選んだ理由、紹介者が使っている言葉、受注につながった事例を整理し、ホームページ、営業資料、提案書に反映しましょう。
4. 顧客との接点が少ない
新規顧客が増えない会社では、顧客との接点が限られていることがあります。
社長の人脈。
既存顧客からの紹介。
交流会。
展示会。
こうした接点は大切です。ただし、顧客は困った瞬間にすぐ相談するとは限りません。
「今すぐ相談するほどではない」
「まだ社内で課題が整理できていない」
「情報収集だけしておきたい」
という段階の顧客もいます。
そのため、ホームページ、SEO記事、サービス資料、セミナー、メルマガなど、複数の接点をつくる必要があります。
顧客が困ったときに見つけてもらえる状態。
必要なタイミングで思い出してもらえる状態。
これを整えることが、新規開拓の基盤になります。
5. 問い合わせにつながる導線がない
ホームページはあるものの、何を相談できるのかわからない。
サービスページを読んでも、自社に合うのか判断しにくい。
記事を読んだ後、次に何をすればよいかわからない。
問い合わせフォームのハードルが高い。
このような状態では、せっかくホームページを見てもらっても、相談にはつながりません。見込み顧客が次の行動を選びやすいように、複数の入口を用意しましょう。
たとえば、次のようなものがあります。
・サービス資料のダウンロード
・導入事例
・よくある相談内容
・料金イメージ
・支援の流れ
・セミナー
・無料相談
・問い合わせフォーム
すべての顧客が、最初から個別相談を希望するわけではありません。
資料を読んで検討したい人もいます。
事例を見て判断したい人もいます。
まずはセミナーに参加したい人もいます。
顧客の検討段階に合わせて、相談しやすい入口を整えることが大切です。
6. 問い合わせ後のフォローが担当者任せ
問い合わせや資料ダウンロードがあっても、その後のフォローが担当者任せになっている会社もあります。
返信スピードが担当者によって違う。
展示会で交換した名刺が放置されている。
セミナー参加者へ、その後の案内を送っていない。
資料をダウンロードした人に、次の情報を届けていない。
今すぐ商談にならなかった見込み顧客と、接点が途切れている。
BtoBの商談は、最初の接点ですぐに受注につながるとは限りません。
相手の社内で課題を整理する時間が必要なこともあります。
予算化や決裁に時間がかかることもあります。
そのため、顧客の検討段階に応じて、継続的に情報を届けることが大切です。
問い合わせ後、誰が、何日以内に、どのように返信するのか。
資料ダウンロード後に、どの情報を案内するのか。
今すぐ商談にならない顧客を、どのようにフォローするのか。
営業担当者個人の判断に任せず、基本の流れを整えましょう。
7. 数字を見て改善する仕組みがない
新規開拓を改善するには、活動量だけでなく、どこで止まっているのかを見る必要があります。たとえば、次の数字を確認します。
・ホームページへのアクセス数
・資料ダウンロード数
・問い合わせ数
・商談数
・提案数
・受注数
・受注率
・流入経路
・失注理由
問い合わせが少ないのであれば、顧客との接点や導線を見直す必要があります。
問い合わせはあるものの商談につながっていないのであれば、一次対応やヒアリングを見直す必要があります。
商談はあるものの受注率が低いのであれば、顧客課題の理解や提案内容を見直す必要があります。
数字を集める目的は、営業担当者を責めることではありません。どこを改善すべきか判断するためです。
営業会議を単なる案件報告の場にせず、次の打ち手を決める場にしましょう。
新規顧客獲得チェック|自社はいくつ当てはまる?
ここで、自社の新規顧客獲得の状態を振り返ってみましょう。次の項目に、いくつ当てはまるでしょうか。
□ 新規顧客の半分以上が、紹介や社長の人脈から生まれている
□ 狙いたい顧客の業種、規模、役職、課題を具体的に言えない
□ 顧客がどんなタイミングで相談したくなるのか整理できていない
□ 競合と比べて、なぜ自社が選ばれるのか説明しにくい
□ ホームページからの問い合わせがほとんどない
□ サービス資料、導入事例、料金イメージが十分に整っていない
□ SEO、セミナー、資料ダウンロード、メルマガなどの入口が少ない
□ 問い合わせや資料ダウンロード後のフォロー方法が決まっていない
□ 展示会名刺や過去の見込み顧客を継続的にフォローしていない
□ 問い合わせ数、商談数、提案数、受注数を定期的に確認していない
□ どの施策から商談・受注につながったのか把握できていない
□ 営業会議が案件報告だけで終わり、改善策まで話せていない
当てはまる項目が多いほど、新規開拓が属人的になっている可能性があります。
目安として、0〜3個の場合は、新規開拓の基盤があります。弱い箇所を補強し、再現性を高めていきましょう。
4〜7個の場合は、新規開拓が属人的になっています。顧客理解と問い合わせ導線の整理を始めるタイミングです。
8個以上の場合は、営業担当者だけでは解決しにくい状態です。営業・マーケティング全体の再設計を検討することをおすすめします。
※このチェックは、現在地を把握するための簡易診断です。業種や営業スタイルによって、優先して見直すべき項目は異なります。
新規開拓を改善するために、まず整えたい5つのこと
新規開拓を改善するために、いきなりすべての施策へ取り組む必要はありません。
まずは、顧客との接点づくりから商談化までの流れを整理しましょう。
1. 狙う顧客と課題を明確にする
最初に、誰に売るのかを整理します。業種、企業規模、役職、課題、相談が発生するタイミングを明確にしましょう。
すべての顧客へ幅広く伝えようとすると、誰にも刺さらない表現になりがちです。既存顧客の中から、今後増やしたい顧客を見つけるのも有効です。
「売上が大きい顧客」だけではなく、成果が出やすい顧客、長く関係が続く顧客、自社の強みを活かせる顧客を整理しましょう。
2. 選ばれる理由を言語化する
顧客インタビュー、受注理由、失注理由、紹介者の言葉を整理します。
自社にとって当たり前のことが、顧客にとって大きな価値になっていることもあります。
選ばれる理由が言語化できれば、ホームページ、サービス資料、営業提案、セミナー、採用にも展開できます。
3. 相談につながる入口を増やす
新規開拓では、施策を増やすこと自体が目的ではありません。顧客が困ったときに、見つけてもらえる状態をつくることが大切です。
ホームページ、SEO記事、サービスページ、資料ダウンロード、セミナー、展示会、メルマガ、紹介、アライアンスなど、自社に合う入口を整えましょう。顧客の検討段階によって、必要な情報は異なります。
課題を整理したい人には、記事やセミナー。
具体的に比較したい人には、サービス資料や導入事例。
相談したい人には、問い合わせフォームや個別相談。
顧客が次の行動を選びやすい状態をつくります。
4. 問い合わせから商談までの流れを整える
問い合わせがあった後、誰が、何日以内に、どのように返信するのかを決めましょう。
一次ヒアリングで確認する項目も整理します。資料送付、商談、フォロー、再提案の流れを整えることで、担当者によるばらつきを減らせます。
また、今すぐ商談にならない見込み顧客も、継続的にフォローしましょう。
定期的なメルマガ、セミナー案内、事例紹介などを通じて、必要なタイミングで思い出してもらえる状態をつくります。
5. KPIと会議体で改善する
問い合わせ数、商談数、提案数、受注数、受注率、流入経路を定期的に確認します。
どの入口が機能しているのか。
どこで止まっているのか。
どの顧客層からの相談が増えているのか。
数字を見ながら、改善の仮説を立てます。月次・週次の会議で確認し、現場で使える形に調整しましょう。
新規開拓の仕組みは、一度作って終わりではありません。運用しながら改善し、社内に定着させることが大切です。
紹介営業と新規開拓は、どちらか一方ではない
紹介営業と新規開拓は、どちらか一方を選ぶものではありません。
紹介で知った会社がホームページを見て安心し、資料や事例を読んで相談する。
そんな流れを整えることで、紹介の強さも、新規開拓の再現性も高まります。
紹介営業で仕事が来ることは、会社が積み重ねてきた信頼の証です。ただし、紹介だけに依存すると、いつ何件の商談が生まれるか予測しにくくなります。
紹介があるうちに、ホームページ、SEO、資料、セミナー、メルマガなど、紹介以外の入口も育てることが大切です。
「紹介営業だけに頼る会社が成長できない5つの理由|紹介を活かしながら安定受注をつくる方法」
新規開拓を仕組み化するには、営業とマーケティングを分けない
新規開拓を仕組み化するとは、営業担当者に新規営業を任せることではありません。顧客との接点づくりから、問い合わせ、商談、受注までの流れを会社として整えることです。
営業担当者の商談スキルを高めても、見込み顧客との接点がなければ、売上は安定しません。
一方で、ホームページ、SEO、資料ダウンロード、展示会、セミナー、メルマガなどの施策を実施しても、その後の営業フォローがなければ、受注にはつながりません。
マーケティングと営業を別々に考えるのではなく、一つの流れとして整える必要があります。たとえば、次のような流れです。
認知・接点
↓
ホームページ・記事・資料・セミナー
↓
問い合わせ・資料ダウンロード
↓
一次対応・ヒアリング
↓
商談・提案
↓
受注・継続提案
この流れのどこが弱いのかを整理し、少しずつ改善します。
営業代行に頼り続けるのではなく、問い合わせ・商談が生まれ続ける仕組みを社内に残す。
これが、中小企業の新規開拓を安定させるために重要です。
「営業を仕組み化する方法|紹介頼み・社長頼みから抜け出す7つのステップ」
まとめ|新規開拓ができないのは、営業担当者だけの問題ではない
新規開拓は、テレアポや飛び込み営業だけではありません。新しい顧客との接点をつくり、相談、商談、受注につなげる一連の活動です。
新規開拓ができない会社には、次のような問題があります。
・狙う顧客像が曖昧
・顧客の課題を理解できていない
・選ばれる理由を言語化できていない
・顧客との接点が少ない
・問い合わせにつながる導線がない
・問い合わせ後のフォローが担当者任せ
・数字を見て改善する仕組みがない
営業担当者の行動量だけを増やしても、根本的な解決にはなりません。
誰に届けるのか。
どんな課題を解決するのか。
なぜ自社が選ばれるのか。
どこで顧客と接点を持つのか。
問い合わせ後にどう商談へつなげるのか。
紹介、ホームページ、SEO、資料、展示会、セミナー、メルマガ、営業フォローを別々に考えるのではなく、一つの流れとして整える。
それが、営業担当者だけに依存せず、安定的に新規顧客を獲得できる会社へ進むための第一歩です。
新規開拓が進まない原因、営業担当者だけの問題にしていませんか?
新規顧客を増やしたいと思っても、営業担当者の行動量を増やすだけでは、成果が安定しないことがあります。
誰に、どんな価値を、どのように伝えるのか。
ホームページ、資料、SEO、セミナー、展示会などの入口から、問い合わせ、商談、受注までがつながっているか。
株式会社風ひらくでは、経営と現場のあいだに立ち、顧客理解、サービスの言語化、問い合わせ導線、営業プロセス、KPI、会議体の設計、社内で回せる状態づくりまで伴走しています。
「紹介以外の新規案件が増えない」
「ホームページや展示会に取り組んでも、商談につながらない」
「営業担当者に任せているが、何を改善すべきかわからない」
そんな場合は、まず現在の新規顧客獲得の流れを可視化するところから始めてみませんか。
この記事の著者

青野まさみ
株式会社風ひらく 代表取締役
マーケティングプランナー/ブランディングプロデューサー
サイバーエージェント、博報堂グループでマーケティング・ブランド戦略を経験後、スタートアップ企業の立ち上げに参画。
2019年に独立し、現在は「株式会社風ひらく」代表として、企業・個人あわせて年間200件以上のマーケティング・ブランド支援を行う。


